天狗山で野良コーヒー、そして童話の世界へ

 
ヒザの調子を整えるために、さいきんはもっぱら近場の小樽天狗山の周辺を歩いています。
天狗山の往復はだいたい2時間程度の行程になりますが、これくらいならヒザに何ら違和感を感じることなく歩けるようになってきました。

なんといっても、自宅から登山口まで車で5分という近さ。
そして万一なんかあってもロープウェイで下りられる安心感。
そんなわけで、天気の良い日は山の上でのんびり過ごすために、ザックにいろんなモノを詰めて登ります。

山頂とは逆を示す登山標識。

 
 
 
スキー場のコースをそのまんま上がっていってももちろん山頂へは行けますが、名にし負う天狗山スキー場の急斜面ですから、泣きを見ることは明らかです。
逆を向いてるこの標識は、通称地蔵コースと呼ばれる森の中を向いているのです。

森の中はこの季節、マッシュ天国です。
ラクヨウはもうおおかた取り尽くされてしまってますが、得体の知れないマッシュがあちらこちらで妖しい光を放っています。

 
ベニテングタケに含まれるイボテン酸は、味の素として知られるグルタミン酸ナトリウムの10倍~20倍もの強度のうま味成分として知られ、ホンシメジや天然マイタケなんかがただのゴミに思えるほど美味いらしいのですが、言わずもがなだけど唯一にして最大の問題は、イボテン酸はヒトにとって中毒成分であり、つまりこれが毒キノコだということですな。

ベニテングタケの小路を歩くこと1時間足らずで、ロープウェイ山頂駅がある8合目に着きます。
本当の山頂は目と鼻の先ですが、そこにとくべつな何かがあるわけでもないので、ぼくは一度しか行ったことはありません。

さて今日の目的は、「うんまいコーヒーを飲みながら、陽がかげるまで読書三昧」です。
秋晴れの日限定のお山での過ごし方です。

豆はオーガニックのコロンビア。
ハンドピック不要な粒揃いのよさは、野良コーヒー向きです。
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火加減に注意しながら、一心不乱、というかボーっとしながらアミを振り続けます。
立ちのぼる香ばしい匂いだけで昇天しそう。
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約20分でこんな感じに。
フルシティローストからフレンチローストへ行く一歩前、ってなトコです。
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アミから飛び出した豆を集めてみました。
ちょっとずつ焙煎が進んでいくさまが色の変化として観察できます。
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あとは冷まして、豆を挽いて、ペーパードリップで頂きます。
花園のパン屋、メランジェのウォールナッツレーズンサワーブレッドが昼ごはん。
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のんびりと、太陽が動いているのが目に見えるくらいのんびりと。
貿易風をつかまえた帆船のように、山の時間に身体を預けてのんびりと。

中沢新一のカイエ・ソバージュ全5巻を読破中。ただいま4巻目。
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最近は昼休みはずっと読書。
昼休みが終わっても 2時間くらいは読書。
仕事しろよと、内からも外からも。

ちなみに、カイエ・ソバージュの1巻目に、ベニテングタケの召し上がり方の一例が書いてあったなぁ。
召し上がり方というか、ソーマの原料として登場するんですね。

この日は木曜日。
平日だったのですが、さすがは小樽のシンボル的お山だけあってけっこう人通りは多く、みなぼくのそばで立ち止まっては、ひと言ふた言話しかけていきます。
その中のひとり、毎日欠かさず天狗山に登ってるという老人が、宇宙の秘密でも打ち明けるかのような囁き声で話しかけてきました。

 「この下の道が曲がるところに、草が枯れ
  て茶色くなっているところがある。
  その左側の草むらに、ウサギの巣穴が開
  いているから行ってみろ。
  これはスクープになるぞ。」

「スクープになるぞ」が利いてるなぁ。
「巣穴が開く(ひらく)」。なんと詩情あふれる表現なんでしょう。
こりゃまるで宮沢賢治の童話だ。

この穴の向こう側には、もうひとつの世界が広がっている。
ウサギも人も同じ言葉をしゃべり・・・。
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不思議な出会いもまたお山の楽しみ。
小樽市民のココロのお山天狗山は、ヒトの脳の神経細胞を、ある方向へ導いていく力があるようです。
それはぼくたちの心の奥深くにある、言葉がまだ詩や音楽だったころの記憶への接続を試みる、軸索突起を伸長させていく力といえるのでしょう。

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1件のフィードバック

  1. ええ、札幌にさえ住めないような気がします。
    平日と休日(仕事する日と遊ぶ日)をはっきり区別するような生活にはもう戻れないかもしれません。

    でも電車に乗るときの感覚だけはいまだに抜けませんね。
    6分待てば次の電車がやってくる阪急沿線で育ったので、時刻表を見てかないと時に長ーい待ち時間を食らってしまうJRにはなかなか馴染めないです。

  2. 家の裏庭などで本を読むというのは何となく想像できますが、
    わざわざ回復具合を計るために珈琲豆を煎って、珈琲を飲む
    その贅沢な時間の使い方に乾杯!
    (ぼちぼち初物ワインの時期ですね)

  3. すごしやすい気温とか、風が吹かないとか、諸々の条件があって、山での野良コーヒーは秋以外の季節にやるのは難しいですねー。
    北海道では、ってことですが。

    食欲の秋、読書の秋の、ぼくなりのひとつの理想ですね。
    外で本を読むのはけっこう好きです。

    葡萄といえば、ウチから3kmほどさらに山奥に小樽ワインの工場があって、仁木町・余市町(ともに葡萄の産地です)から毎朝ブドウが運ばれてくるんですよ。
    だけどいつも道路に葡萄の甘い匂いが残されてるだけで、一度もブドウが運ばれているところを見たことがなかったのです。

    それが昨日の朝、事務所に行く途中で、はじめてそれを見たんです。
    冷たい朝霧の中、荷台からぽろぽろとブドウの実をこぼしながら走る軽トラの姿を。
    こーゆー時に限ってカメラ持ってないんですよねー。

  4. 小樽の風景懐かしく感じ、仕事中疲れた時にhamayoサンのプログで癒しています♪
    地蔵コースは小さい頃からよく行った場所です。ペンキで塗られていたのは驚きました。でも、他の観音様があのままで感動でした。
    珈琲の場所♪もよいですが、私の一番のお気に入りの場所は山頂のロープウエイの入り口を出て左に行った場所です。
    ビビっとくる場所ですよ(^^)
    地元の人しかしらないのかな~
    そこからの珈琲も中々よいと思います。

  5. はじめまして、mirakuruさん。

    ぼくはまだ小樽市民になって3年生なので、知らないところがまだまだいっぱいあるのですが、小樽は町も野山も迷宮ですね。
    よく行く場所でもいつも何かしら新しい発見があります。

    ロープウェイ入口から左側のほうというと、あの断崖の上のところでしょうか。
    あそこからはぼくのウチのほうが丸見えなんですよ。
    於古発山のほうへ30分ほど歩いていった、大曲展望所もなかなかいい眺めですね。
    冬に行ってみたいとずっと思っているのですが、近いとかえって行く機会がないものです。

    冬場は気温が低くて野良焙煎は困難を極めます。
    暖かい日に頑張って煎った貴重な豆を、大事に挽いて飲みながら、春になるのをゆびおり数えて待っています。

  6. おばんですhamayoさん(^^)
    小樽っ子3年生なんですね♪
    雪かきは慣れましたか?今年は雪が多いと聞きました(><)hamayoさん頑張って下さいね♪

    ロープウエイの話♪崖は崖なんですが、ロープウエイから少し歩きます。岩がゴロゴロしてる場所で、毛無山が見えたと思います。小樽の景色よりも山に囲まれている雰囲気のところです(^^)

    hamayoさんのお家なんとなくわかっちゃいました(^^)
    うちは珈琲飲んでいた場所から見える場所ですよ♪
    大曲展望所は私は多分行った事ないかも・・・実家に帰った時チャレンジしてみたいです(^^)

  7. 小樽っ子は3年生ですが道民になってからは長いので、雪掻きはもう慣れましたが、小樽の急な坂にはまだまだ慣れません。
    実家の神戸も小樽以上に急坂がいっぱいあるけど、あっちは雪は積もりませんからね~(笑)。

    mirakuruさんの実家もだいたい分かるかなー、と思ったけど、あそこからは第一大通りより北側はほとんど見えてるから、めちゃ範囲広いなぁ・・・。

    大曲展望所は春か秋がイイと思いますよ。

  8. hamayaさん神戸なんですか~何度か昔~昔(笑)会社の研修で行った事あります。神戸は私好きですよ。坂道も好きですし、雰囲気も好き♪

    大曲展望所って昔なかった気がした(笑)
    ロープウエイで何年か前にあっがただけで歩くのは、何十年歩いてないかも(><)
    実はhamayoさんのプログ見て、お地蔵様に会いたくなってしましたので♪今年、帰れたら行こうかなぁ~って考えてます(^^)
    その時に大曲展望所にもチャレンジ♪しちゃいます。

    積丹は行った事ありますか?

  9. 大曲展望所はロープウェイ山頂駅から2kmくらい歩くので、ハイカーの人たちがよく訪れますね。
    山頂部の遊歩道は、夏のMTBレースのコースがいたるところで錯綜していて、地図もコンパスもまるで役に立たないほどなんです。
    でも進む方向さえ誤らなければ、どの道を行ってもちゃんと正解にたどり着きますけどね(笑)。

    積丹は神威岬が好きです。
    エゾカンゾウが咲き乱れる初夏もいいけど、早春に草花が芽を出しかけたころの、‘ほとんど’なーんにもない茫漠とした風景がぼくは好きです。

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